ストーリー
”核のごみ”を捨てる場所は⾒つかるのか?
原発推進論者の科学者と反原発の映画監督が
”世界⼀安全な場所”を探す旅に出る――
この60年間で、⾼レベル核廃棄物35万トン以上が世界で蓄積された。
それらの廃棄物は長期にわたって、人間や環境に害を与えない安全な場所に保管する必要がある。しかし、そのような施設がまだ作られていないにも関わらず核廃棄物、いわゆる”核のごみ”は増え続けている。
そんな中、英国出身・スイス在住の核物理学者で、国際的に廃棄物貯蔵問題専門家としても高名なチャールズ・マッコンビーが世界各地の同胞たちとこの問題に取り組む姿をスイス人のエドガー・ハーゲン監督が撮影。チャールズと監督の2人はアメリカ・ユッカマウンテン、イギリス・セラフィールド、中国・ゴビ砂漠、青森県六ヶ所村、スウェーデン、スイスなど世界各地の最終処分場候補地を巡る旅に出る。
果たして、世界に10万年後も安全な"楽園"を探すことはできるのか―。

⽇本でも最終処分場候補地に北海道の2町村が名乗りを上げる中、必見のスイス発ドキュメンタリー
現在、廃炉も含め60基の原発を抱える日本では2020年、北海道の寿都町と神恵内村が最終処分場の候補地として手を挙げ、11月から文献調査が開始された。2007年に高知県東洋町が立候補したが白紙撤回だったため、実質的に今回が全国で初めてとなる。
科学者・専門家たちの理想とする提案に突きつけられる現実、現地住民の反対。これまで候補となった土地で起きた様々な状況を彼らと世界を巡りながら目にする。
原発推進・反対派であれ避けては通れないこの問題を、未来への負の遺産としないために正面から向き合う本作は、いままさに必見の作品である。


コメント
五十音順・敬称略
昔むかし「不老不死」の霊薬を探して遥かなる旅路についた先人たちがいました。
この映画の旅は同じぐらいスケールが大きく、「神話」の奥へ奥へと連れて行ってくれます。
そして途中、気づきます。
ぼくらは既に、探し求めるこの旅路に、みんな否応無く完ぺきに巻き込まれてしまっていたのです。
アーサー・ビナード(詩人)
人類の技術の発展とその過信。
ベンヤミンの詩のように楽園からの強風によって天使が今にも吹き飛ばされようとしている。その強風は進歩と呼ばれる。
この作品は人類の進歩せざるを得ない悲劇を露出させている。
ヴィヴィアン佐藤(非建築家・ドラァグクイーン)
地球で最も危険なものを10万年も閉じ込めておくための
地球で最も安全な場所を探すんだよ。
なら最初っから、そんな危険なものを作るべきじゃなかったんだよ、
どう考えてもね。
枝元なほみ(料理研究家)
私は「観る前と観た後で、世界の景色が変わる」映画が好きだ 。
この映画を観たらさて自分はどうするか、という問いが必ず生まれるはずだ。
核のゴミ処分は、 世界中の誰にとっても、他人ごとではないのだ。
大島 新(ドキュメンタリー監督)
廃棄物処分の責任は、廃棄物を出した者にある。しかし、原子力発電だけは特別扱いを受けている。行き場のない究極のやっかいもの=高レベル放射性廃棄物。原子力発電で巨大な利益を得てきた電力会社は、果たして、その処分責任を果たせると思っているのだろうか。本作品は、現場から問いかける。
大島 堅一(龍谷大学政策学部教授)
「福島第一原発の作業員が考える一番危険な場所はどこだと思う?」とドイツの高校生に質問したら「TEPCOの社長の頭の中」と言われました。
さて「世界で一番安全な場所」は?
おしどりマコ(芸人・記者)
ありきたりの原発反対映画ではない。
推進派の学者が、核のゴミの地層処分地探しに世界を歩くロード・ムービーでもあり、候補地の現状を映像で見る楽しみもある。モノにできたらこれほど儲かる事業はないと明言するビジネスマン地質学者も登場。地層処分の怖さを推進派に語らせてしまったこれは出色のドキュメンタリー映画だ。
小野 有五(北海道大学名誉教授)
エンディングのどこまでも続くゴビ砂漠のロングショットが、絶望感を深めさせる。 世界中どこを探しても、核廃棄物の捨て場はない。
若狭半島の「夢の増殖炉」もんじゅは廃炉、
青森県六ヶ所村の核再処理工場は、計画発表から36年たっても稼動の見通しにない。 原発は人類最大の失敗だった。
それが判った今、脱原発に声を出そう。
鎌田 慧(ルポライター)
地球上で最も毒性が高く、その毒性が何十万年も続く代物、核廃棄物。
その最終処分を人類は迫られている。最前線の現場はどうなっているのか、
答えはどこにあるのか? 世界中で観られるべき映画!
鎌仲 ひとみ(映像作家)
この問題は答えの無い問いなのだ。
別言すれば、使用済核燃料の最終処分場適地などこの地球上には存在しないということだ。
人類はとてつもない難問をしょいこんでしまったのだ。
河合 弘之(弁護士・映画監督)
映画を見てやっぱり原発はダメだなと思った。こんな恐ろしいものを人類はつくってしまったなと。
いまからでも遅くない、できるだけ早く廃止にすべきとあらためて思う。
小泉 純一郎(元首相、原発ゼロ•自然エネルギー推進連盟顧問)
私たちの世代は、それが生み出す猛毒のゴミの始末の仕方を知らないまま原子力の利用を続けている。
科学を信仰してはいけない。
まずは、原子力を止めるべきこと、そして人間とはなんと愚かな生き物かを、この映画は教えてくれる。
小出 裕章(元京都大学原子炉実験所助教)
作品完成から8年以上経ってなお問題解決へ一歩も進んでいない現実を見せつけられ深い絶望感に囚われた。
しかし、こうしているうちに高レベル放射性廃棄物はその数を増やし世界中をさまよっている。
今生きている我々が見て見ぬふりをしてはいけない。
スクリーンの前で刮目せよ。そして懊悩せよ。
斉藤 一美
(文化放送「斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI!」キャスター)